税理士・業務効率化

税理士事務所の管理ツールの選び方|既製品と自社開発どちらが合う?

公開日:執筆:WiLBfv編集部

税理士事務所の管理ツールの選び方|既製品と自社開発どちらが合う?

税理士事務所の業務ツールを探し始めると、「既製のクラウドサービスで足りるのか、それとも自分の事務所用に作るべきか」で迷う方が多いです。結論から言うと、多くの事務所では「まず既製品を検討し、合わない部分だけ作る・つなぐ」のが現実的です。この記事では、その判断のしかたを中立的な立場で整理します。

この記事で分かること:

  • 税理士事務所で使われる業務ツールの種類
  • 既製品と自社開発(オーダーメイド)の違いと、それぞれが向いている事務所
  • ツールを選ぶ前に確認したい10項目のチェックリスト

税理士事務所で使われる業務ツールの種類

業務ツールは、役割ごとに大きく5つに分けられます。
まずは「どの役割のツールを探しているのか」をはっきりさせることが大切です。

種類主な役割
会計・税務ソフト記帳、決算書や申告書の作成
顧客管理・進捗管理顧問先の情報、申告や決算の進み具合の管理
資料のやり取り顧問先とのファイル共有、資料の受け渡し
チャット事務所内や顧問先との連絡
請求管理顧問料・スポット料金の請求と入金の確認

この記事では、特定の製品名や料金は紹介しません。
製品ごとの機能や料金は変わりやすく、比較の公平さも保ちにくいためです。
製品を比べるときは、各社の公式サイトで最新の情報をご確認ください。

多くの事務所では、会計・税務ソフトはすでに導入されています。
悩みが出やすいのは、その周りの「顧客管理・進捗管理」や「資料のやり取り」です。
どの業務から見直すべきかは、税理士事務所の業務効率化|最初に見直すべき5つの業務で解説しています。

既製品(クラウドサービス)と自社開発の違い

既製品と自社開発は、「費用のかかり方」「業務への合わせやすさ」「始めるまでの早さ」が大きく違います。

比べる点既製品(クラウドサービス)自社開発(オーダーメイド)
費用のかかり方初期費用は抑えやすく、月額費用が続く初期の開発費がかかり、その後は保守費用がかかる
業務への合わせやすさ用意された機能の範囲で使う事務所のやり方に合わせて作れる
始めるまでの早さ申し込めばすぐ試せることが多い設計・開発の期間が必要

どちらが優れているということではありません。事務所の状況によって、合う・合わないが変わります。

費用は、初期費用だけで比べないことが大切です。
既製品は月額費用が積み重なります。
自社開発は保守費用がかかります。
数年間の総額と、業務への合い方をあわせて比べるのがおすすめです。

既製品が向いている事務所

次のような事務所は、まず既製品から検討するのがおすすめです。

  • 業務の流れが一般的:多くの事務所と同じような進め方であれば、既製品の機能で十分なことが多いです
  • すぐに始めたい:開発を待たずに、来月から使い始めたい場合
  • IT担当者がいない:サーバーの管理やシステムの更新を、サービス提供会社に任せられます

既製品の多くは、無料の試用期間を設けています。
実際に職員の方に試してもらい、「今の業務で使えるか」を確かめてから決めると安心です。

注意したいのは、既製品に業務を合わせすぎることです。
ツールのために、かえって手順が増えてしまっては本末転倒です。
試用の段階で「どの作業が楽になり、どの作業が増えるか」を確認しておきましょう。

自社開発(オーダーメイド)が向いている事務所

次のような事務所は、自社開発も選択肢になります。

  • 独自の業務の流れがある:事務所ならではの進め方があり、既製品の項目や画面が合わない
  • 既製品の間で転記作業が多い:複数のサービスを使っていて、同じ情報を何度も書き写している
  • 顧問先向けの専用画面がほしい:顧問先が資料を送ったり、状況を確認したりできる画面を、事務所に合わせて用意したい

特に「転記作業が多い」ケースは、見落とされがちです。
ツールを増やした結果、ツール同士の間で手作業が増えてしまうことがあります。

自社開発でよくある誤解

自社開発というと、「大がかりなシステムを一から作る」というイメージを持たれがちです。
しかし、実際には次のような小さな作り方もできます。

  • 1つの業務(例:書類の回収状況の管理)だけに絞って作る
  • 最初は最低限の画面だけで使い始め、使いながら機能を足す
  • 事務所内だけで使い、顧問先向けの画面は後から考える

また、「作ったら終わり」ではない点にも注意が必要です。
使い始めると、「この項目もほしい」「この画面は使わない」といった声が出てきます。
公開後に少しずつ調整していく前提で考えておくと、現場に合ったツールに育てやすくなります。

ただし、自社開発には開発の期間と費用がかかります。全部を作ろうとすると、費用もふくらみます。
費用の目安や内訳は、業務システム開発の費用相場でくわしく解説しています。

第3の選択肢:既製品をつなぐ・一部だけ作る

「既製品か、自社開発か」の二択で考える必要はありません。
既製品をそのまま使いながら、足りない機能だけを小さなWebツールで補う方法もあります。

たとえば、次のような組み合わせです。

  • 会計ソフトはそのまま使い、顧問先ごとの書類の回収状況だけを管理するツールを作る
  • 既存のサービスからデータを取り出し、事務所で見やすい一覧にまとめる
  • 顧問先が資料を送る入口だけを、事務所に合わせて用意する

この方法なら、全部を作り直すより費用と期間を抑えやすくなります。
今使っている会計ソフトを変えずに済むので、職員の方の負担も少なくて済みます。

WiLBfvでは、書類回収の管理を想定した業務ツールのデモを公開しています。
顧問先ごとの未回収書類の一覧、担当者ごとの絞り込み、催促文の下書き作成を、実際に操作して試せます。表示しているデータはすべて架空のものです。「小さなツールとはどんなものか」をイメージする参考に、書類回収管理ツールのデモをご覧ください。

選ぶ前のチェックリスト(10項目)

既製品を選ぶ場合も、自社開発を頼む場合も、次の10項目を先に整理しておくと判断しやすくなります。

  • □ 解決したい業務は何か:資料回収、進捗管理など、1つにしぼれているか
  • □ 使う人数:所長・職員の何人が使うか
  • □ 顧問先も使うか:顧問先に操作してもらう画面が必要か
  • □ データの保存場所・セキュリティ:データがどこに保存され、どう守られるか
  • □ アクセス権限:職員ごとに、見られる情報の範囲を分けられるか
  • □ バックアップ:データが消えたときに戻せる仕組みがあるか
  • □ 既存ソフトとの連携:今の会計ソフトなどとデータをやり取りできるか
  • □ 月額費用と5年間の総額:初期費用だけでなく、数年分の費用で比べたか
  • □ 解約時のデータの取り出し:やめるときに、データを持ち出せるか
  • □ サポート体制:困ったときに、誰にどう問い合わせられるか

特に「データの保存場所・セキュリティ」と「アクセス権限」は、
顧問先の情報を扱う税理士事務所にとって大切な項目です。
税理士には税理士法で秘密を守る義務が定められています(税理士法 第38条)。
顧問先のデータをクラウドに保存する場合の考え方は、所属の税理士会や専門家にも確認しておくと安心です。

このチェックリストを一緒に埋めるところから始められます。相談は無料です。無料で相談する

自社開発を頼むときの進め方

自社開発を頼む場合は、いきなり作り始めず、「何を作り、何を作らないか」を先に決めることが大切です。
WiLBfvの場合は、次の流れで進めます。

  1. ヒアリング・課題整理:今の業務の流れと、困っていることを伺います
  2. 必要な機能の洗い出し:「やること/やらないこと」を一緒に整理します
  3. 画面構成:誰が、どの画面で、何をするかを決めます
  4. 開発:必要な範囲で画面のデザインと仕組みを作ります
  5. テスト・公開・操作説明:実際に使えるかを確認し、使い方をご説明します
  6. 公開後の改善:使い始めてから見えてきた点をもとに、調整や機能追加を行います

①〜③は、Webアプリ・業務ツール開発の「ライトプラン(企画・設計)」にあたります。
つくる前に、要件と画面の骨格を固めるプランです。
この段階で「既製品で足りる」と分かれば、無理に作る必要はありません。
「作ることありき」ではなく、既製品で足りるかを一緒に見極めるところから関われます。

④〜⑥は「ベーシックプラン」にあたります。設計から公開、公開後の初期フォローまでを行います。

まずはWebで始め、必要ならスマホにも

業務ツールは、まずWebアプリ(ブラウザで使う仕組み)として始めるのがおすすめです。
パソコンでもスマホでも、インストールせずに使えます。

さらに、PWA(ホーム画面に追加して、アプリのように使えるWebアプリ)という形にもできます。
必要になってから、スマホアプリにする進め方も可能です。
最初からスマホアプリを作るより、費用と期間を抑えやすくなります。

公開後の保守について

自社開発したツールは、公開後も保守が必要です。
サーバーの管理、不具合の修正、ブラウザの更新への対応などです。
WiLBfvでは、保守・運用の費用は初期費用の年15〜20%前後を目安としています。
サーバー費用などは別途かかります。

AIを業務に取り入れたい場合

生成AIなどのAIツールを業務に取り入れたいという相談も増えています。
ただし、顧問先の情報を扱う税理士事務所では、守秘義務や個人情報への配慮が欠かせません。
注意点は税理士事務所のAIツール活用例でまとめています。

まとめ

税理士事務所の業務ツール選びは、「まず既製品を検討し、合わない部分だけ作る・つなぐ」が
多くの事務所で現実的な進め方です。

  • 既製品は、すぐ始めたい・業務が一般的・IT担当がいない事務所に向いている
  • 自社開発は、独自の流れがある・転記作業が多い・顧問先向けの画面がほしい事務所に向いている
  • 二択ではなく、既製品と小さなツールを組み合わせる方法もある
  • 費用は初期費用だけでなく、数年間の総額で比べる
  • 選ぶ前に、10項目のチェックリストで条件を整理する

迷ったときは、チェックリストの「解決したい業務は何か」に戻ってみてください。
業務がしぼれると、必要なツールも見えてきます。

WiLBfvでは、既製品で足りるかの判断から、必要な部分だけの開発までご相談いただけます。
ホームページと業務ツールを同じ窓口で担当しているため、顧問先を増やすためのホームページについても一緒に考えられます。

くわしくは業務ツール開発や税理士事務所向けのページをご覧ください。
相談・お見積もりは無料です。無料で相談する

よくある質問

Q.既製品と自社開発、どちらが安いですか?
A.

初期費用は既製品の方が抑えやすい一方、月額費用が続きます。数年間の総額と、業務への合い方で比べるのがおすすめです。

Q.自社開発したツールの保守費用はどのくらいですか?
A.

WiLBfvでは、保守・運用は初期費用の年15〜20%前後を目安としています(service-plans.ts の記載)。

Q.スマホでも使えるようにできますか?
A.

できます。まずはWebで始め、必要に応じてスマホに最適化する進め方も可能です。

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